鳶職人の種類
鳶職人は、携わっている作業によって、「足場鳶」「鉄骨鳶」「重量鳶」と分類して呼ばれることがあります。
「足場鳶」とは、建設現場で足場を組む鳶職人です。
足場を組む作業は、建築図面から建物をイメージして、
後から作業に入る他の職種の職人の作業性がよいように、作業効率を考えて行うことが求められます。
「鉄骨鳶」とは、鉄骨造の建物において、建築図面をもとに骨組を組む職人をいいます。
鉄骨をクレーンでつり上げて、高所で組み立てを行います。
「重量鳶」とは、足場鳶と鉄骨鳶と比べて、専門性がより高い鳶職人です。
建設現場での重量鳶は、建築物の内部に機械などの重量物を据え付けます。
土木工事における重量鳶は、橋脚工事において主桁架設などを行います。
「足場鳶」「鉄骨鳶」が一般的によく知られる鳶職人です。
「鉄骨鳶」と「足場鳶」の、双方を兼ねている場合もあります。
鉄骨造においては、鉄骨を組んだ後に、足場を組み立てますが、同じ鳶職人が
足場の組み立てと鉄骨の組み立ての両方を担うことがあります。
はじめは見習いからスタート
鳶職人は見習いから始まります。
最初は先輩職人の手元や非常に重い資材の運搬がメインであり、真夏も真冬も外での作業が続きます。
事故を絶対に起こさないようにという気持ちから出てきているものですが、
先輩からの厳しい指導もよくあることです。
体力面、精神面ともに、慣れるまでは少しきつい仕事です。
職長とは
一人前の職人になって何年か経つと、「職長」というポジションで、建設現場を任されるようになります。
職長は、他の鳶職人を指揮監督する立場であり、工程管理・施工管理・安全管理といった仕事を行います。
建築現場で、安全面での配慮を行うとともに、作業手順を考えて計画し、手順通り進むように管理を行います。
一人前への道は遠い
鳶に限らず、職人と呼ばれる人は皆、必ず見習い期間を経験しています。
この期間に職人に必要な知識や技術を先輩から教わり、肉体や精神を現場で鍛えます。
この期間は雑用を任されることも多く、なかなか実践的な作業をさせてもらえない場合もあります。
また、新人のうちは当然失敗も多いため、先輩から時には厳しく指導を受けることもあるでしょう。
一人前になってから厳しい現場で活躍するためにも見習い期間はひたすら忍耐の日々であると考える必要があります。
高所での作業はまだまだ先
高いところで機敏に作業する鳶職人は建設現場の華ともいわれます。
そのため、高所での作業に憧れて鳶職人を志願する人も少なくありません。
しかし、高いところでの作業を任されるようになるまでにはそれなりの時間がかかります。
常に危険と背中合わせの高所作業をなりたての人間に任せるわけにはいきません。
また、法律で18歳未満の高所作業は認められていないこともあり、
見習い期間中は地上での作業がメインになると考えておきましょう。
これらの仕事も鳶職人の重要な作業です。
また、実際に高所を任されてから落ち着いて作業ができるように、
この期間に先輩の仕事ぶりを見ることで盗める技術は盗んでおきましょう。
先を読んで動く努力を
鳶職人の仕事は緊張感で溢れています。
状況によっては先輩職人も見習いに対して懇切丁寧に指示を出せないこともあります。
少しの気の緩みが大きな事故を引き起こしかねない仕事であるがゆえに、これは仕方のないことです。
なりたてのうちは難しいかもしれませんが、ある程度の期間がたったら指示に頼るのではなく、
自分自身の頭で考えて先を読んだ動きができるように努力することが求められます。
見習いの仕事の一つに足場で作業中の職人が必要とするパイプや
クランプ(連結金具)などの材料を地上で段取りし、手渡すことがあります。
指示が出る前に準備をしておけば効率良く作業が進行するのはいうまでもありません。
逆にそこでもたついてしまうことで、作業に支障が出ることもあるのです。
見習いとして少し余裕が出てきたら、焦らず、落ち着いて全体を観察し、
今、自分が何をすべきか考えることが必要です。
そうすることで見習い期間中の仕事に張りが出て、充実感が湧いてくるでしょう。