よく街で見かける工事現場。
一般の方は立ち入れないため、足場をまじまじと見ることはないかもしれません。
実は足場にはいくつか種類があり、それぞれ異なる特徴を持っています。
中にはDIYでも使えるような足場もあるのですよ!
そこで、本記事では工事現場などで使われる足場の種類をそれぞれ解説します。
本記事を読むことで、街で行われている工事作業が少し身近に感じられるようになるはずです。
足場の種類と特徴
足場の種類は大きく分けて以下の7つです。
1.単管足場
2.くさび式足場(ビケ足場)
3.枠組み足場
4.吊り足場
5.移動式足場
6.脚立足場
7.次世代足場
それぞれ特徴があり、使われる部材や向いている工事が異なります。
以下の項目で詳しく解説しますので、参考にしてください。
1.単管足場
単管足場とは、単管と呼ばれる直径48.6mmの鉄パイプを繋ぎ合わせて組み立てる足場のことです。
単管にクランプという金具を接続し、ボルトで固定して組み上げます。
組み立てや解体に時間がかかるものの、単管の繋ぎ合わせ方次第で職人の背丈に合わせて調節ができ、自由度は高いです。
狭い場所でも設置できるため、密集地での工事に向いています。
比較的安価に組み立てられ、部材がホームセンターでも購入できるため、DIYをする際にも人気の足場です。
床となるアンチがなく、鉄パイプの上で作業をすることや足場に物を置けず片手がふさがってしまうことから、作業時は安全面についてしっかりと注意する必要があります。
<基本部材>
単管パイプ・固定ベース・クランプ・単管ブラケット・足場板・ジョイント
2.くさび式足場(ビケ足場)
くさび式足場とは、ハンマーを使いくさびという金具を打ち込んで組み立てる種類の足場です。
国内初のくさび緊結式足場の商品名から由来し「ビケ足場」と呼ばれることもあります。
ハンマー1本で組み立てられるため、組み立てや解体が簡単です。
亜鉛メッキ処理されているため錆に強く、耐久性も高いことからコスパの良い足場といえるでしょう。
主に低層から中層の建物の工事に使用されます。2015年の技術規準改定により、高さ45mの建物の工事までと、その使用範囲を広げています。
外壁の塗り替えなど短期で終わる作業の際には、高層の建物に使われる場合もあり、複雑な形状の建物にも使用可能です。
また、結束してコンパクトにできるため、輸送コストも下げられます。
注意点としては、組み立て時にハンマーを使用するため、周囲に騒音が発生してしまう点です。
また、設置場所にスペースを要するため、周囲との間隔が狭い場所では設置できません。
<基本部材>
ジャッキ、支柱、手摺、踏板、ブラケット、筋交、鋼製階段、先行手摺、壁当てジャッキ
3.枠組み足場
枠組み足場とは、建築工事や橋梁工事などの現場で活躍する、現在のオーソドックスな足場です。
昭和27年にアメリカのビティスキャフォード社から輸入したことに由来し、「ビティ足場」とも呼ばれます。
使用する部材が軽いため、扱いやすく組み立てや解体が簡単です。
また、強度の高い部材を使用するため、安全性が非常に高く45mまでの高層建築工事にも使用できます。
組み立てにハンマーを使わないため、くさび式足場と比べて騒音もそれほど起きません。
注意点は、大がかりな足場となるため、かなりのスペースが必要な点です。
また、部材自体も大きいことから、搬入路や部材置き場の広さも配慮する必要があります。
<基本部材>
建枠・ジャッキ・筋交・ジョイント・ピン・アームロック・布板・壁つなぎ・手摺
4.吊り足場
吊り足場とは、鉄骨の梁などに吊り材を設置し、上から作業床を吊り下げて作る足場のことです。
地面に足場を組み立てられない橋梁やプラント、溶接の工事でよく使用されます。
工期の短縮や資材の削減ができる点がメリットです。
しかし、上から吊り下げているため、落下事故のリスクが高く危険が伴います。
そこで現場には足場の組立て等作業主任者を配置することで安全性を高めています。
設置する際には点検や確認で比較的時間が必要です。
<基本部材>
吊りチェーン・パイプ・金具・作業床など
5.移動式足場
移動式足場とは、足場の下部にキャスターが付いており、自由に移動できる足場のことです。
構造は基本的に枠組み足場と同じで、組み立てや解体が簡単です。
枠組み足場の構造に加えて昇降用のはしごや作業床・手すりなどの防護設備が組み込まれています。
設備工事や配管工事、塗装工事など幅広い工事で使用し、一度組み立てれば移動が簡単で高さも自由に調節できることから、特に移動しながらの作業が必要な天井や壁の仕上げ作業工事に重宝されます。
安全な作業ができますが、足場使用中はしっかりとブレーキをかけておかなければいけません。
また、作業者が乗っている状態で移動しない、足場の上で脚立や移動はしごを使用しないなど、いろいろな注意点を守る必要があります。
<基本部材>
はしご型建枠・キャスター・筋交・鋼製布板・手摺枠など
6.脚立足場
脚立足場とは、脚立の間に足場板を設置して構成される仮設足場です。
屋内の壁や天井の作業などに使用されます。
通常の脚立を足場の支柱として使用する足場で、脚立を複数配置し足場板を敷くことで棚足場を組み上げることも可能です。
組み立てが簡単で、小規模な作業で使われることの多い足場なのでDIYの際にもよく使われます。
<基本部材>
脚立・足場板
7.次世代足場
次世代足場とは、従来の足場の規格を見直して作られた種類の足場の総称です。
昔と比べて作業員の平均身長も伸びていることから、従来の足場だと腰をかがめる体勢で作業しなければなりません。
こういった作業時の負担や安全性などを考慮してさまざまな規格が見直されたのが次世代足場です。
くさび式足場と比べて大幅な軽量化が実現され、抜け防止機能も強化されているため、作業時の負担が減り、より効率的に作業ができます。
枠組み足場と比べても、足場内の空間が広くなっているため作業がしやすく、安全性も高まった足場です。
安全、施工、管理などあらゆる面から見直されており、くさび式足場や枠組み足場よりも優れています。
今後は次世代足場がスタンダードになる可能性が高いでしょう。
<基本部材>
支柱・布材・ブレース・ブラケット・手摺など
足場の使い分け方
作業効率や安全性を考えると、足場の種類を使い分ける必要があります。
場所別で使い分けをまとめたので、参考にしてください。
・屋内作業:脚立足場
・狭い場所:単管足場
・広い場所:くさび式足場・枠組み足場・次世代足場
・低い場所:単管足場・くさび式足場
・高い場所:枠組み足場・くさび式足場(一部)・次世代足場
・地面に足場を設置できない場所:吊り足場
まとめ
本記事では、足場の種類について解説しました。
記事を読むまで、工事現場の足場は全て同じだと思っていた方も多いのではないでしょうか。
足場の種類は7つあり、小規模なものもあれば大規模で少々危険な種類のものもあります。
それぞれ特徴やメリットデメリットがあるため、作業内容によって使い分けることが重要です。
街角で工事現場を見かけた際、「この足場は…」などと興味をもっていただけると嬉しいです。