機械据付の際には、アンカー工事の施工によって、安定性を高めることが可能です。アンカー工事の特徴や注意点など多様な側面についてお話ししますので、機械据付の際に役立てていただければ、と思います。
金属系アンカーと接着系アンカーの特徴とは?
アンカー工事は、設備機器とコンクリートをしっかり固定させる目的で行われ、転倒や落下を防ぎ、事故を未然に防ぐ役割を果たしています。すでに設置されているコンクリートに孔を開けて施工する「施工アンカー」が一般的です。
機械据付の際に施工するアンカー工事には、大きく分けて金属系アンカー、接着系アンカーの二つの種類があります。金属系アンカーは、金属拡張アンカーとも称されます。母材に開けた孔の中で金属が拡張して、孔の中で突っ張ることによって強度が高まるという仕組みです。機械据付の分野で古くから用いられてきた方法であり、接着剤が固まるまでに一定の時間が必要な接着系アンカーとは異なり、施工直後から強い強度が発揮されるのが特徴です。
接着系アンカーは、近年の機械据付におけるアンカー工事の主流となっています。アンカーを入れる孔に接着剤を注入し、化学反応による固化を利用して、機械据付の安定性を高められるのです。接着系アンカーには、カプセル方式と注入方式の二つの方式があります。接着系アンカーは、溶剤が固まるまでに時間の掛かる点がデメリットですが、優れた固着性があることから、耐震補強工事などに用いられています。
アンカー工事の施工事例の幅広さ
アンカー工事は、どのような場所で施工されているのでしょうか。接着系アンカーは、プラントや工場内での大型の機械据付における活用事例が多いです。工場や大型施設に大型機器や空調設備等の機械据付をする際には、アンカー工事を施工して、機械と土台となるコンクリートを固定するための作業が行われます。アンカー工事を適切に施工すれば、機械の転倒を防止し、機械の安全な稼働を維持するための支えとなるのです。
給排水用のタンクといった屋外への大型の機械据付の際にも、接着系アンカー工事が施工されます。さらに、太陽光発電設備の取り付け、建物の耐震性補強における外付けブレースの設置など、工場やプラント以外の建物で接着系アンカーの技術が応用されている例もあります。
特に固着性の高い接着系アンカーは、耐震補強に適した方法として評価されていて、耐震性強化対策をするために、アンカー工事の施工をする企業も増えています。どちらかというと、大型施設等の業務で活用される機会が多い技術です。しかしマンションの手すりの取り付けなど、一般の人が日常的に利用するものを安定して取り付ける際にアンカー工事の技術が用いられる例もみられます。
ガードレールや道路標識の設置など、道路関連の工事におけるアンカー工事の施工例も挙げられます。ETCレーンの設備機器の取り付けや、道路周辺の照明の設置においても、アンカー工事の技術が活用されています。ほかにも、大型の橋梁の補強工事、河川の改修工事など、実に多様なところでアンカー工事が施工されています。
まとめ
大型機器の機械据付の際には、アンカー工事が施工されます。アンカー工事には、大きく分けて金属系アンカー、接着系アンカーの二つの種類があります。金属系アンカーは、従来行われてきたアンカー工事の方法であり、施工後すぐに強度が発揮される特徴があります。接着系アンカーは、固着性が高いことから、多くの現場で好んで使われているアンカー工事です。大型機器の機械据付のほか、建物の耐震補強工事にも接着アンカーの技術が応用されています。